オフコンのモダナイゼーションを阻む要因とは？

株式会社GxP（旧：ジーアールソリューションズ）の阿野幸裕のZDNET寄稿記事を基に解説します。

オフコンのモダナイゼーションは、多くの企業にとって大きな課題となっています。特に、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションには、いくつかの重要な障壁があります。この記事では、これらの障壁を分析し、乗り越えるための条件を提示します。

サステナブルなレガシー

IBM i (AS/400)のようなシステムは、アプリケーションリソースの継承性が高く、OSやハードウェアのアップグレードに伴う移行コストが低いという特徴があります。これは、30年以上前のアプリケーションが最新のマシンでそのまま稼働できるという点で、技術的には素晴らしいことです。しかし、この継承性が高いがゆえに、アプリケーションが最新のアーキテクチャーに順応する機会を失いがちです。結果として、開発手法やツール、インターフェースが古いまま残り、モダナイゼーションの障壁となります。

レガシーボリューム

長年にわたり同じプログラムを使用し続けることで、プログラムのロジックが複雑化し、理解が難しくなることがあります。前任者の意図を理解できず、ソースコードが冗長化することも少なくありません。このような状況では、モダナイゼーションのコストが増大し、プロジェクトの進行が遅れる原因となります。

レガシーの地層構造

IBM i (AS/400)の進化に伴い、異なる時代の開発手法や標準が混在する「地層構造」が生まれます。これにより、モダナイゼーションを推進する際に、異なる様式のリソースを理解し、統合する必要があります。さらに、過去のパッケージソフトウェアの導入が複雑化を助長し、理解の難しさを増しています。

レガシーのダブルロック

国産汎用機やオフコンからIBM i (AS/400)へのリプレースにおいて、既存の操作やプログラムをそのまま再現するための基盤ソフトウェアを導入することがあります。これにより、IBM i (AS/400)と元の国産機双方の理解が必要となり、モダナイゼーションの障壁がさらに高くなります。

モダナイゼーションを成功させるための条件

これらの障壁を乗り越えるためには、以下の条件を満たすことが重要です。

1. アプリケーションリソースの棚卸しとスリム化: まず、現行のアプリケーションリソースを詳細に棚卸しし、不要な部分を削減することが必要です。これにより、モダナイゼーションの対象範囲を明確にし、コストを削減できます。
2. 最新技術への適応: 定期的にアプリケーションを最新の技術に適応させることが重要です。これには、新しい開発手法やツールの導入、インターフェースの更新が含まれます。これにより、システム全体のパフォーマンスとセキュリティが向上します。
3. 統一された開発標準の確立: 異なる時代の開発手法や標準が混在することを防ぐために、統一された開発標準を確立することが必要です。これにより、開発プロセスが効率化され、理解の難しさが軽減されます。
4. 基盤ソフトウェアの見直し: 国産汎用機やオフコンの操作を再現するための基盤ソフトウェアの使用を見直し、可能であれば、IBM i (AS/400)のネイティブな機能を活用することが推奨されます。これにより、システムの複雑性が軽減され、モダナイゼーションが容易になります。
5. 継続的な教育とトレーニング: 開発者や運用担当者に対する継続的な教育とトレーニングを実施し、最新の技術や開発手法に精通させることが重要です。これにより、モダナイゼーションのプロセスがスムーズに進行します。

これらの条件を満たすことで、オフコンのモダナイゼーションを成功させることができます。モダナイゼーションの成功には、これらの要因を十分に理解し、戦略的に対応することが求められます。

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