30年蓄積した3000本のアプリケーション資産を可視化 運用保守の負荷を削減し、持続可能なシステムへ

㈱ベストーネ(本社、滋賀県)は、30年以上にわたり、IBM i (旧AS/400)を軸に情報システムを構築、運用しており、現場の要望に合わせ約3000本の手組みのアプリケーションプログラムの蓄積がありました。しかしアプリケーション資産のドキュメントがなく、人材の高齢化が問題となり、また旧来型のAS/400アプリケーションに対応できる社外リソースの人手不足にも悩まされていました。そこで同社は2021年12月、基幹システムの継続/維持と近代化を目指し、アプリケーション資産の分析・可視化ツールとしてX-Analysisを導入、活用を開始しました

採用のポイント

  • 基幹システムを持続可能なシステムに
  • 旧来型のAS/400アプリケーションに対応できる人材不足問題に対応
  • システム最新状況をリアルタイムに反映
  • 影響分析の網羅性の高さ

  • 30年にわたり開発を続けてきたアプリケーション資産は累計約1万本

    ベストーネは現在、3拠点のセンターでお惣菜、弁当、食材の製造、加工を行っています。センターには、正しく管理された中で生産されたものを効果的にお客様に手渡しする目的があり、より商品の価値を高めお客様へのご奉仕に活かす一翼を担っています。この3拠点を管理しているのが、AS/400を軸に構築した同社の情報システムです。
    同社の情報システムの役割は、基幹業務にあたる生産管理と販売管理だけでなく、勤怠管理、制服管理、経費管理、さらには品質管理、業務連絡など多様です。現場の要望を聞きながら30年にわたり開発を続けてきたアプリケーション資産は累計約1万本、実働するプログラムに限っても約3000本におよびます。その多くはプログラミング言語RPGによる手組みのアプリケーションです。「当社の基幹システムを、持続可能なシステムに刷新することが課題でした」とシステム・経営企画部の沖恭伸様は語ります。(以下「」内はお客様の声)
    しかし時代の変化に伴い人材が高齢化、さらにRPGを扱える外部リソースも少なくなってきたことから、システム刷新を考える必要が出てきました。

    人材の高齢化。刷新を視野にアプリケーション資産を可視化

    システム刷新を目指す理由は技術者不足への対応だけではありません。刷新による生産性向上も期待できます。「例えば、現状のシステムでは商品マスター登録のため80桁×25行の画面を3枚開いて作業しています。しかし現代的な環境なら高解像度の1画面で済み、より生産性を上げることができます」。
    現代的で生産性が高いアプリケーションに刷新するためには、まず現状のアプリケーションプログラム資産の状況を可視化することが必要でした。「仕様書はありません。システムの現状に関する知識は、IBM i の中にしかないのです。アプリケーション資産の棚卸しが必要な状況でした」。
    システム運用保守の現場でも限界が来ていました。『プログラムを直してほしい』という要望が届いても、実働3000本のアプリケーション資産の物量を目の当たりにすると、もはや人手では影響分析が難しくなっていました。そこで機械、ツールにやってもらうことを考えました」。
    同社は8年前に外部の力を借りて、5カ月かけて人海戦術でシステム可視化作業を実施しましたが、アウトプットが紙の資料のため有効活用できなかった苦い経験があります。この経験もあり、必要な情報を素早く探し出せて、しかもシステムの最新状況をすぐ把握できるソリューションが求められていました。

    リアルタイム性と網羅性でX-Analysisを採用

    複数のツールを実データを使って比較検討した結果、リアルタイム性と網羅性が決め手となりX-Analysisを採用しました。ツール選定の過程でGxPのX-Analysis Webサイトに掲載されていたX-Analysisの技術コラムを見て「まるで哲学を語るようで、この会社なら大丈夫だろうと思いました」
    他社製品では分析前にデータを都度反映しなければならないツールもありました。X-Analysisはシステムの最新状況をリアルタイムに把握でき、プログラム変更履歴の追跡も容易でした。また影響分析の網羅性も優れており、例えば「消費税率」を表す変数をすべて洗い出すことができました。「網羅性が欠けるツールでは、後から手作業が発生してしまいツールの意味がなくなってしまいます」

    情報システムの運用・保守の負荷が軽減

    X-Analysisを導入し、影響分析やプログラム変更履歴の可視化ができたことにより、同社では情報システムの運用・保守の負荷が減りました。「新たなトラブルが発生した時に、直近のプログラム変更履歴をすぐに見ることができます。トラブルシューティングの負担が軽減され、負荷が減った分、新しいことを考えて手を動かすことができるようになりました」。X-Analysisの導入から1年以上の経験を積み、同社ではより深い使い方ができるようになったと感じています。X-Analysisによるシステム解析では夜間の短時間でリポジトリ更新が可能ですが、その分析作業では多様な切り口があります。分析者が経験を積みスキルが上がることで、より深い分析が可能になります。今後 二度とレガシーシステムにしてはいけないとシステム刷新に向け、同社はX-Analysisを存分に活用していく考えです。